相談役・顧問の「罪」と「功」

企業統治(コーポレート・ガバナンス)改革の一環から、「相談役・顧問」のあり方が問われています。株主の意思によらない選任プロセス、権限や責任の曖昧さなどから、上場企業で見直しの動きが相次いでいます。



本質的な問題の所在は?
現状では、有償ストック・オプションに係る会計処理を直截的に定めた会計基準はありません。そのため実務上は、新株予約権に係る会計処理に準じた会計処理が行われているケースが大半であると考えられます。この場合、従業員等から受け入れた金銭は新株予約権として純資産の部に計上され、新株予約権の行使又は失効が生じるまでは追加の会計処理は行われません。



有償ストック・オプションの性格
上場企業のうち相談役や顧問を抱える企業は6割。経済産業省の調査によると、相談役・顧問が実際に果たしている役割として『現経営陣への指示・指導』と回答した企業が36%に上り最多。社外活動や経営上の助言の域を超えて、隠然と続く影響力の存在が明らかとなりました。一方、役割自体を『把握していない』企業(10%)や、『特にない』とする企業(7%)も存在。相談役・顧問は、終身雇用・年功序列の煽りを受けた日本型経営の一種の象徴であり、トップ引退後に用意された「お約束ポスト」としての性格を帯びているといえます。
相談役・顧問の問題点として、高額報酬や待遇面(秘書・個室・車)が上げられることがありますが、問題の本質は、株主からの正式な信任を得ない立場の人間が、企業統治の監督下に置かれることなく、経営の意思決定に実質関与する点にあるといえます。企業の中で果たす役割および責任を明確に定義づけた上で、それに沿った形の運営がなされることが重要であると考えられます。




「院政」が日本経営にもたらす弊害
社長やCEOが経営の第一線を退いた後も後任社長に実権を渡さず、なお経営に介入する例が一般によく見受けられます。自身とは異なるやり方を受け入れられずに、経営手法を巡って対立しお家騒動に発展するケースも珍しくはありません。このようなケースでは、後継者による果断な意思決定が阻害されるだけでなく、結果として、後継者の育成が十分に図れない可能性が高くなります。
全国の社長の平均年齢は59.3歳と過去最高を更新、高齢化の一途を辿っています(帝国データバンク「全国社長分析2017」)。平均引退年齢は67~70歳(中小企業庁)、団塊世代が70代に差し掛かる今後数年の間に多くの企業が経営承継のタイミングを迎えるとみられています。マクロ的視点から、次世代経営者の育成は「日本株式会社」の未来戦略にとって重要課題であり、国を挙げた政策が欠かせません。経験豊富なOBの存在が強力な支えとなります。



事業承継への活用
ファミリービジネスの事業承継において、家長の引退方法として会社・家長双方にとって有益となるのは「大使スタイル」であるといえます。
「大使スタイル」には、①後継者自治に干渉しない、②従業員の雇用や取引先との関係継続、③引退後も会社と適度な距離を保ちつつ存在を維持、といった利点があり、相談役・顧問に求められる役回りは、これに最も適合するといえます。
創業時より受け継ぐ理念や信条を後継者が踏み外すことのないよう助言者の立場からバックアップすることによって、会社の永続に寄与すると考えられます。

君主スタイル・・・ 死ぬまで権力保持
司令官スタイル・・ 職権移譲後も復権企む
大使スタイル・・・ 優雅に去り助言者として貢献
知事スタイル ・・・任期終了後は他職へ転身



お見逃しなく!
2018年より、相談役・顧問の役割を開示する新制度がスタートします。上場企業の社長・CEO経験者が退任後も引き続き相談役・顧問として残る場合に、氏名・役職に加え、業務内容、報酬の有無をコーポレート・ガバナンス報告書に任意に記載できるようになります。
多くの企業による積極的な情報開示が企業統治の透明性向上の一助となることが期待されます。

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