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役員報酬とコーポレートガバナンス

昨年末は、わが国を代表する自動車メーカーにおける代表取締役会長の役員報酬等の問題が、大きなショックを世間に与えました。ここでは、有価証券報告書の虚偽記載や特別背任等の議論には立入らず、コーポレートガバナンス(以下CG。)の論点を取り上げます。

監査役設置会社における任意の報酬諮問委員会
同社は、監査役設置会社を採用していました。コーポレートガバナンス・コード補充原則4-10①では、法定の報酬委員会が存在しない監査役設置会社について独立社外取締役を主要な構成員とする任意の報酬諮問委員会を設け、独立社外取締役の適切な関与・助言を得るべきであるとしています。同社は、このような任意の委員会を設置していませんでしたが、もし、設置していたらこのような大きな問題にはならなかったかも知れません。
現在、東京証券取引所における任意の委員会の設置状況は、以下のとおりです(2018/1/5時点)。

市場 上場企業数 「あり」の企業 比率
第一部 ・ 第二部 2,621社 1,014社 38.60%
マザーズ・ JASDAQ 1,058社 44社 4.10%

自分の報酬を自分で決めるとなぜ問題なのか
お手盛りにより多額の会社財産が流出してしまう。確かにそれも一理あるでしょう。でも、それだけではありません。CG の観点からは別の理路があります。『監督と執行の分離』、そして、『ROE(自己資本利益率)とPBR(株価純資産倍率)』です。執行者(代表取締役)の報酬を、監督機関(取締役会)ではなく、執行者が決めていると、監督機関が適切に機能しない。その結果、執行者による企業経営が非効率であってもそれが継続され、中長期的にROE やPBR が向上しないという考え方です。
金融庁は、2015 年CG コード導入によるCG 改革の進展に伴って、企業のROE とPBR は全体して上
昇していると分析しています。また、ROE とPBR により企業を以下のとおり分類・評価しています。

指標 2014年 2018年
ROE 7.16 8.80
PBR 0.97 1.24

(2018年11月27日金融庁企画市場局)

分類指標 評価
ROE8%未満かつ
PBR1倍未満
-投資家から必ずしも評価されていないグローバル企業群
-経営が必ずしも持続可能でないローカル企業群
ROE8%以上
かつPBR1倍以上2倍未満
ローカル経済圏において持続可能な企業群
ROE8%以上
かつPBR2倍以上
グローバルに競争する高成長・高ROEの優良企業群

経営者にとっての『監督と執行の分離』
その本質は、詰まるところ、「経営者が自分自身を客観的に評価できるか」、あるいは「進退や報酬の決定を含め、経営者が自分自身を監督できるか」です。その実現方法は、企業によって様々でしょう。経営者が自分自身を客観的に評価できるのであれば、報酬を自分で決めても問題ないかもしれません。しかし、報酬決定等、ルールや仕組みで客観性を確保できるものはこれらを利用し、経営者は、ROE やPBR の向上等、定型化できないもっと難しい経営課題に注力したほうが、企業の中長期的な成長に貢献できるとする考え方が広がりつつあります。

お見逃しなく!
金融庁は、2019年3月期決算の上場企業から、役員報酬の決め方の有価証券報告書での開示を義務化する方針です(日本経済新聞2018/12/6)。具体的には、業績によって変わる業績連動報酬が総額に占める割合や、どの指標に基づいて算出するかなどのルールの公開を求めるとのことです。

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