連結納税

平成29年度税制改正においては、組織再編時に時価課税がされない適格要件の見直しが行われたのと同時に、スクイーズアウト(金銭交付による少数株主の排除)による完全子会社化が組織再編税制と位置づけられることになりました。これに伴い、連結納税開始・加入の際の課税の取り扱いが大きく変わることとなります。



連結納税が普及しない理由
国税庁が毎年公表している「法人税等の申告(課税)事績の概要」によると、平成28年6月末時点において連結納税を採用している法人は1,698グループ13,675法人、全法人のわずか0.45%に留まっており、連結納税の制度創設から15年を経た現在も制度の普及がなかなか進んでいないのがわかります。
連結グループ内の損益通算、つまり黒字法人の利益と赤字法人の損失を相殺できるというメリットがあるにもかかわらず、連結納税制度の普及が進まない理由は、連結納税を採用(開始)する際、または完全子会社化(加入)する際に、完全子会社の有する資産が時価評価課税の対象となること、完全子会社において繰越欠損金の切り捨てが行われてしまうことの2点であるとされてきました。なかでも、連結納税の開始・加入前に買収した完全子会社の買収金額が時価純資産価額を上回っていた場合に、資産の時価評価制度において「自己創設営業権」を時価評価して評価益を計上することへの懸念が大きく、グループ企業が連結納税を採用することや、すでに連結納税を採用している法人がM&Aや組織再編により完全子会社化を実施することの妨げとなってきました。



税制改正により懸案事項が解消
平成29年度の税制改正により、連結納税制度を採用する際のデメリットとされていた懸案事項が解消されました。連結納税を採用する法人数が増加するとともに、すでに連結納税を採用している法人においても、グループ内の子会社を完全子会社化する動きが活発化するものと予想されます。
1. 自己創設営業権
連結納税の開始または連結グループへの加入に伴う資産の時価評価制度について、帳簿価額が1,000万円に満たない資産が時価評価制度の対象から除外されました。これにより、連結納税制度の創設以来の懸案事項とされていた、帳簿価額のない「自己創設営業権」を時価評価する必要がなくなりました。
2. スクイーズアウトによる完全子会社化
親法人が発行済株式の3分2以上の株式を保有している場合には、株式交換の対価として少数株主に現金を交付する場合であっても税制適格要件を満たすことが可能となり、全部取得条項付種類株式の割当、株式併合、株式売渡請求によるスクイーズアウトが組織再編税制の対象となりました。これにより、現金交付型株式交換をはじめとするスクイーズアウトであっても、税制適格要件を満たしていれば、連結納税の開始または連結グループへの加入に伴う資産の時価評価が不要となり、かつ、連結納税グループへの開始・加入前に生じた完全子会社の繰越欠損金を連結グループに持ち込めることになりました。



お見逃しなく!
スクイーズアウトについては、どの手法を選択しても税制上の取り扱いに大きな差異がなくなりました。したがって、今後は、法律面での取り扱いや株主総会決議の要否といった手続き面での簡便さによってスクイーズアウトの手法が選択されることになります。

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