税理士コラム

倒産したのにどうして損失にできないの?~ホントは難しい貸倒損失

昨年、全国企業倒産件数が10年ぶりに1万件を超え、また今年度も増加傾向で、そのような話を耳にする機会も増えているかと思います。売掛金や貸付金等の債権が回収不能な状態を貸倒れといい、貸倒れた債権は貸倒損失として会社の所得から控除することができます。ただこの貸倒れには案外高いハードルが存在し、税務調査で否認されるケースが多々あります。今回は、意外と難しい貸倒損失を損金とするための3つの要件について紹介します。

〇貸倒損失を計上するには

貸倒損失を計上するには、債権に対する【貸倒れの事実】が重要となります。
つまるところ債権の消滅額、減少額が確定したという確証が必要となり、相手方が倒産したからと言ってむやみに貸倒損失は計上できないのです。
国税庁の「法人税基本通達」では以下の3つの状態でなければ、貸倒損失を計上できないとしてます。

① 法律上の貸倒(金銭債権の全部又は一部が法的に切捨てられた場合の貸倒れ)
② 事実上の貸倒(回収不能の金銭債権の貸倒れ)
③ 形式上の貸倒(売掛債権が取引停止後1年以上経過した場合等の貸倒れ)

〇弊社における貸倒損失のケースについて

弊社の顧問先においても時々、貸倒損失が発生しておりますが、見受けられるケースとしては
① 法律上の貸倒(金銭債権の全部又は一部の切捨てをした場合の貸倒れ)
が9割近くを占め、圧倒的に多いです。
パターンとしては2つに分かれ、以下の図に示す通りとなります。

また③ 形式上の貸倒(売掛債権が取引停止後1年以上経過した場合等の貸倒れ)は1割ほどで、
② 事実上の貸倒(回収不能の金銭債権の貸倒れ)に関してはほとんど見受けられません。

〇②事実上の貸倒(回収不能の金銭債権の貸倒れ)が見受けられない理由

回収不能であるか否かを判断するためには、債権先の財務状況・支払能力等を把握するために、相手先の財務諸表を入手する必要があります。支払能力等を把握する資料として与信管理会社から債権先の経営状態に関するレポートも考えられますが、財務状況を網羅しておらず、支払能力を表す資料としては不十分となります。
一般的に財務状況・支払能力等を把握するために、先方の財務諸表を入手するのは至難の業で、これが事実上の貸倒れによる処理ができない大きな要因となっています。

〇まとめ

相手先の倒産や督促しても支払ってくれない時などに貸倒損失処理ができそうですが、繰り返しになりますが、
国税庁の通達に定められている【貸倒れの事実】が確定していることが重要となります。
計上の判断は難しいので、迷われた際は 荒川区の税理士 永瀬事務所 へお気軽にご相談ください。
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