新型コロナウイルス感染防止対策のため、各企業内で様々な施策が行われていることと存じます。2021年5月31日に「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」に「企業が従業員の感染予防対策費用を負担した場合の取扱い」が追加されました。今回こちらをご紹介させていただきます。
1. 所得税の取り扱い
感染予防対策として従業員が負担した以下のような費用の支給は、業務のために必要な費用を精算する方法(従業員からその費用に係る領収証等の提出を受けて、その費用を精算する方法など)により、企業が従業員に対して支給する一定の金銭については、従業員に対する給与課税の対象となりません。
1) マスク、石鹸、消毒液、消毒用ペーパー、手袋などの消耗品の購入費
2) 従業員の自宅に設置する間仕切り、カーテン、椅子、机、空気清浄機などの備品の購入費(備品の所有権を従業員が有するものを除く)(注1)
3) 感染が疑われる場合のホテル等の利用料・ホテル等までの交通費など(注2)
4)PCR 検査費用、室内消毒の外部への委託費用など(注2)
また、業務のために通常必要な費用以外の費用や、予め支給した金銭については業務のために通常必要な費用として使用しなかった場合でも、その金銭を企業に返還する必要がないものは、従業員に対する給与として課税対象となります。
(注1) 企業が従業員に環境整備に係る物品等を支給した場合(その物品等の所有権が従業員に移転する場合)には、従業員に対する現物給与として課税されます。
(注2) 従業員が自己の判断によるホテルへの宿泊/PCR検査/消毒費用等の購入などは業務のために通常必要な費用以外の費用となり、給与課税対象となります。
2. 法人税の取り扱い
上記必要費用としての支給に係る企業の法人税課税関係ついては、原則として、消耗品費、旅費交通費等や給与として損金算入されます。
以上より、企業が従業員の感染対策費用を負担する際に給与として課税されるかどうかのポイントは、
「業務に通常必要なものであるかどうか」によって課税関係が異なるため、
「業務に通常必要なもの=会社として感染対策費を負担する範囲」等を明確化し、
従業員へ周知することをお勧めいたします。
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