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過去のオリンピックの分析と2020年東京オリンピック開催の意義について

 先日、2020年夏季オリンピックの開催地に東京都が正式に選考されました。
今回は過去のオリンピック開催国の経済状況を分析した上で、現在の東京と比較し、2020年の東京オリンピックの開催意義について考察します。

1. 直近の開催国の分析

 1988年のソウル及び2008年の北京におけるオリンピックは、1964年に開催された東京同様、高度経済成長期に開催されているため、オリンピック開催はインフラ整備の側面が強く、現在の日本の状況とは異なります。また、1992年のバルセロナ、1996年のアトランタ及び2000年のシドニーについても、経済が比較的好調な中での開催であり、日本との比較は困難といえます。2004年のアテネは、開催前は設備投資ラッシュによる景気拡大が見られましたが、その後は債務危機に直面し、オリンピック開催後の実質経済成長率は落ち込み、結果的にはオリンピックのインフラ整備のための債務が多額に残りました。
2012年のロンドンは、2008年のリーマンショック後に開催されたこともあり、オリンピック開催前後のイギリスの実質経済成長率は低くなっていました。また、当該オリンピックでは、ロンドン東部地区の再開発が目的の一部としてあげられていました。

2. 2020年東京オリンピックと2012年ロンドンオリンピックの比較

 2020年の東京は、開催目的の1つに湾岸地域の開発があるといわれており、2012年開催のロンドンと類似します。また、2020年東京と2012年ロンドンは、下記の実質経済成長率の推移から分かるとおり、低成長期の開催という点も似通っています。

2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010 2011 2012
日本 0.3 1.7 2.4 1.3 1.7 2.2 △1.0 △5.5 4.7 △0.6 2.0
イギリス 2.4 3.8 2.9 2.8 2.6 3.6 △1.0 △4.0 1.8 0.9 0.2

単位:%
(出典:IMF – World Economic Outlook Databases)

オリンピック後、再開発の効果により、ロンドン東部地区は急速に発展を遂げており、一般財団法人 森記念財団が公表している「世界の都市総合力ランキング」でロンドンは2011年まで2位でしたが、2012年にニューヨークを抜き、1位となりました。東京でも湾岸地域を中心としたインフラ整備により利便性の高い首都を目指し、国際競争力の向上が期待されます。

お見逃しなく!

 イギリスでは、付加価値税率を2010年1月に17.5%に、翌2011年1月に20%まで引き上げましたが、法人税の標準税率は遅れて2012年4月以降に、26%から24%に引き下げられ、以降2014年4月までに21%に段階的に引き下げられることになっています。イギリスでは付加価値税の上昇後、オリンピック開催前にも関わらず、消費落ち込みによる景気悪化を招いています。日本でも消費税率を引き上げる一方、どのタイミングで法人税率の引き下げが行われるか注目されます。

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