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ヤフー事件に見る 組織再編スキームへの影響

1. 東京地裁でヤフー敗訴、組織再編が租税回避行為として否認

 3月18日、「組織再編」の「行為計算否認」を争点とする初めての税務訴訟、いわゆるヤフー事件の判決が、東京地裁でありました。会社同士を統合する合併や、事業部門を切り出す会社分割などの「組織再編」は、法人税を節税できる数々の特例が認められています。一方、税務当局は、組織再編によって法人税が不当に節税できる場合には、納税者の同意なく更正処分をできる権限をもっています。これが「行為計算否認」の規定です。今回の事件では注目された2つの事案がともに否認され、ヤフー側が敗訴しました。早速、ヤフー側は控訴しましたが、組織再編の行為計算否認規定を適用した初めてのケースとして、今後の組織再編の現場への影響は必至です。

2. ヤフー事件の2つの事案概要

 ヤフー社を中心とした一連の組織再編スキームですが、2つの事案に分解されて争われています。
① 合併に伴う消滅会社の繰越欠損金を引き継いだ事案
 ヤフー社が、合併直前にA社へ副社長を派遣し100%子会社化したうえでA社と適格合併。A社が保有する税務上の繰越欠損金を引き継ぎ、ヤフー社の利益と相殺して、結果、節税を実現しました。
② 非適格合併に伴い計上された資産調整勘定(のれん)の損金算入事案
 A社が営業部門をB社(新設100%子会社)に切り出して会社分割。A社はB社株をヤフー社に売却予定だったので、税務上の非適格再編としてB社において「のれん」を計上。その後、ヤフー社はB社を100%子会社化。B社は、のれん(資産)の償却費を損金計上して、結果、節税に活用しました。

3. 事業上の目的・理由があっても行為計算否認

 法人税法には、合併や会社分割・株式交換などの組織再編にかかる包括的行為計算否認規定が設けられています(法人税法132条の2)。東京地裁は、ヤフー事件の組織再編が租税回避目的とする異常・変則的な取引であり、法人税の減少効果が組織再編税制の趣旨・目的に明らかに反していると結論付けました。組織再編を実行する現場において経営陣は、税の専門家を交えながら包括的行為計算規定の適用を受けないために「ビジネス・パーパス」「ビジネス・リーズン」のシナリオを慎重に積み重ねていきます。今回の判決は、事業上の目的・理由があるだけでは、包括規定の適用リスクを消去できないことを明確にしました。

お見逃しなく!

 IBM事件も行為計算否認の適用を争点に訴訟しています。平成22年度税制改正により封じ込められた子会社の自社株買いによって、親会社サイドで、受取配当の益金不算入と子会社株式の譲渡損失をダブル適用する節税スキームが問題とされた事案です。平成23年の国税通則法の改正により、当局側に修正申告勧奨時の説明義務が課されるようになりました。納税者サイドも、組織再編のみならず税務当局との見解相違に対抗できる事前準備・改正情報のキャッチアップが求められます。

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