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「のれん」の減損

「のれん」の減損を行い、多額の損失を計上したという報道をよく耳にします。「のれん」の減損は、損失計上額が巨額になることが少なくなく、企業の業績に多大な影響を与える可能性があります。「のれん」を減損しなくてはならない原因は、どこにあるのでしょうか?また、企業買収等を行う際には、どのような点に留意すればよいのでしょうか?

「のれん」の減損が発生する原因
「のれん」の減損が必要となる要因として、企業の価値や将来キャッシュ・フローが、買収時点の想定より減少しているという点があげられます。それでは、何故、買収時点の想定より企業の価値や将来キャッシュ・フローが減少するのでしょうか?

 1. 買収価格の問題
原因の一つとして、そもそも買収価格が高すぎたということが上げられます。企業を買収する際には、対象企業を買収することによるシナジー効果等を考慮して、対象企業の単独の価値よりも高い価格で買収することがあります。シナジー効果等は、過去の実績では測ることができないため、将来の見積りによって算出されることになります。当然、将来の見積りには不確実性が含まれますので、場合によっては、買収価格が高すぎたという結果になることもあります。また、対象企業の単独の価値についても、対象企業が得られる将来キャッシュ・フローの見込みが楽観的過ぎる場合などには、同様の結果となることもあります。

 2. 買収後の環境の変化
一方で、買収後の経済環境の変更等により、予想していた業績が達成できない場合や、株式市場環境の悪化等によっても、企業の価値や将来キャッシュ・フローが減少する原因になります。

「のれん」の減損リスクを軽減するために
上記2.のリスクについては、場合によっては避けがたい部分もありますが、1.のリスクについては、買収決定時に一定程度、コントロールできる余地があると思われます。

 1. 実効性のあるデューディリジェンス(DD)の実施
企業買収時にはDDを行うことが一般的ですが、このDDを実効性のあるものにすることが重要です。買収時には、対象企業の良いところに目が行きがちですが、第三者の目でしっかりとしたDDを行い、企業全体の状況をしっかりと把握しておく必要があります。

 2. 事業計画の妥当性の検討
対象企業の将来事業計画は、企業価値の算定根拠となる重要なものです。売り手側はできるだけ高い価格で売りたいため、対象企業の実力以上の楽観的な事業計画を立ててくることも想定されます。それらの事業計画について、買い手側は、批判的な目で、その合理性や達成効能性の検討を行うことが重要です。

お見逃しなく!
 買収時だけではなく、買収後も、買収時の事業計画と実績をモニタリングし、乖離が生じている場合には、その原因究明を行い、迅速に改善措置を講じていく必要があります。こうした行動により、減損損失を回避できる可能性も高まり、また、次回以降の企業買収に役立つことになります。

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