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企業と株主・投資家との建設的な対話の促進

2016年6月2日に閣議決定された「日本再興戦略2016-第4次産業革命に向けて-」において、企業による情報開示の在り方や、株主総会の在り方などについて検討を進め、年度内には結論を出すものとする方向性が示されました。

1. 企業の情報開示の実効性・効率性の向上
投資家が必要とする企業情報を効果的かつ効率的に提供するため、例えば、以下のような提言がなされています。
• 一体的開示
上場会社の情報開示は、主に会社法・金融商品取引法・証券取引所上場規則に基づいて行われていますが、情報の重複や事務負担の重さ、2種類の監査(会社法及び金融商品取引法)との関係など、制度上の諸問題が指摘されています。これらの問題点に対応し、統合的な開示を実現するため、事業報告等と有価証券報告書の一体的開示や、開示内容の更なる共通化が可能な項目があれば共通化を進めていくことが提言されています。
• 四半期開示
四半期開示制度そのものの必要性や在り方から検証する必要もありますが、まずは、決算短信の内容の見直しなどが提言されています。

2. 「対話型株主総会プロセス」の実現
株主総会前に提供される情報を充実させるとともに、株主が議案を検討する時間を十分に確保するなどの観点から、例えば、以下のような提言がなされています。
• 書面に代えて電子提供できる株主総会招集通知添付書類の範囲拡大
現状では、事前の個別承諾による電子提供制度とWeb開示によるみなし提供制度があります。電子提供制度によれば、株主から事前に個別承諾を得ることで、招集通知の関連書類の一部を書面ではなく電磁的方法によって提供することができます。一方、みなし提供制度によれば、株主からの個別承諾なしに、招集通知の関連書類の一部をWeb上で公開することで、株主に提供したものとみなすことができます。上場会社によるみなし開示制度の採用は比較的進んでいますが電子提供制度の採用は進んでいないこともあり、開示情報の充実等を図るべく、株主の個別承諾なしに、書面に代えて電子提供できる情報の範囲を拡大し、原則電子提供とする方向で検討することが提言されています。
• 株主総会開催日及び議決権行使基準日の合理的な設定
定時株主総会における議決権行使基準日は決算日とすることが一般的ですが、現状では、基準日から3ヵ月以内に株主総会を開催する必要があるため、決算日から3ヵ月以内に定時株主総会を開催しなければなりません。しかし、効果的かつ効率的な開示の検討の状況も踏まえつつ、例えば、決算日から4ヵ月後に株主総会を開催する、基準日を決算日よりもあとに設定して基準日と株主総会開催日との期間を短くする、などを可能とする環境を整備し、企業や投資家などの関係者の意識と行動変化を促すことが提言されています。

お見逃しなく!
上記に基づく制度改正があった場合には適切に対処していくことは当然ですが、近時の「コーポレートガバナンス・コード」や「日本版スチュワードシップ・コード」なども踏まえると、制度改正の有無にかかわらず、企業による積極的な情報開示と株主・投資家との建設的な対話が求められていると言えるでしょう。

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