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企業は地方創生の一役を担えるか

日本の上場企業は約半数が東京に本社を置いており、文字通り「一極集中」状態にあります。ヒト・モノ・カネが都心に集中する一方で、地方経済は、高齢化と人口減少に伴う衰退化が懸念されます。こうした現状に歯止めをかけ、地方の自律的な活性化を促すためには、地域経済に新たな雇用と産業を生み出す企業の担う役割が重要となります。

1. 地方創生への企業の意識調査
 地方創生に関する企業の意識調査(帝国データバンク調べ)では、有効回答約1万社のうち過半数の企業が「地方創生に関心あり」と回答、将来の働き手が不足する人口減少地域ほどその傾向が顕著に見られます。また、投資意向に関する調査では、2,731社(有効回答件数の約15%)の企業が「新たな拠点整備や設備投資の意向あり」と回答し、約65%が平均10億円規模の工場・研究所・物流保管施設への投資を、約20%が本社(平均投資金額は約8億円)への投資を、それぞれ予定しているとしています。
 地方創生に向けた企業の投資ポテンシャルには、一定の需要があると見込まれます。

2. 地域活性化に向けた企業の取り組み例
 ファスナー大手のYKK(東京都千代田区)は、北陸新幹線の開通に伴い、国内最大の製造拠点でグループの中核である黒部事業所(富山県)に本社機能の一部移転を行い、来春までに東京本社などに勤務する社員230人(家族を含め1,000人規模)を移住させる決断を行いました。「技術の総本山」である当地にて開発拠点機能の強化を図るほか、自然エネルギーの活用により快適に過ごせる街づくり計画を公表しています。地方活性化への新たな取り組みとして産業界からの注目を集めています。

3. 世界のトップ企業に見る本社の立地状況
 アメリカの経済誌フォーチュンの世界企業番付「GLOBAL 500」2015年版によると、米国では、トップ500にランクインする全128社のうち世界経済の中心であるニューヨーク市に本社を置く企業は17社、首都ワシントンには2社しかなく、企業本社は全土に分散しています。ドイツでは、首都ベルリンに本社を置く企業はランクイン全28社のうち僅かに1社しかありません。EU圏全体では、大都市への集中傾向は見られるものの、企業本社は各地に分散しています。欧米におけるこれらの結果は、企業の本社を国の首都に置くことが必ずしもグローバルビジネスにおける優位性を持たないことを示しています。なお、日本企業のトップ500ランクイン全54社のうち東京本社は38社(70%)と世界でも突出した都市集中国となっています。

4. 企業が地方創生に果たす役割
 日本においては、トヨタ自動車(愛知県)をはじめ、地方に本社を置く世界に名立たる数々の優良企業が日本経済を牽引するとともに、地場産業群の発展に貢献しています。情報インフラの行き届いた現代社会において、経営の意思決定場所は、もはやビジネス上の重要要素とはなり得ません。アベノミクス成長戦略の柱として政府が掲げる「地方創生」実現のためには、新たな雇用を創出し地域経済の活性化に貢献する企業の存在が不可欠です。首都圏に集中する企業の本社を地方に分散させ、世界の投資を呼び込むことのできる強い都市づくりをいかに行えるかがカギを握ります。

お見逃しなく!
 東京23区内に本社を置く企業が地方に本社機能を移転した場合や、地方に拠点を置く企業が拠点機能を拡充させた場合に、移転先でのオフィスへの投資額に対し最大7%の法人税額控除(選択により25%特別償却)ができる優遇税制が新たに導入されました。また、移転先で従業員の雇用を増加させた場合、一人当たり最大80万円の税額控除を併せて受けることが可能となります。企業の地方移転を税制面で後押しする効果が期待されます。

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