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労働者派遣法の改正と企業への影響

1. 派遣需要の変化

 民主党政権下の派遣労働規制強化やリーマンショックによる景気後退に伴う派遣労働者の需要の減少により、派遣社員数は2008年度の約198万人をピークに、2011年度では約137万人となり、大幅に減少しています(厚生労働省 労働者派遣事業報告より)。しかしながら、ここ最近では東日本大震災の復興需要により、積極的な正社員の採用には至らないものの、派遣の需要は回復しつつあります。

2. 労働者派遣法の改正

 2012年10月1日から改正労働者派遣法が施行されました。今回の労働者派遣法改正では、登録型派遣や製造業派遣の禁止が見送られたことにより、大きな混乱は生じないと思われます。しかしながら、派遣会社については、「日雇派遣原則禁止」、「マージン率の情報提供」、「派遣料金の明示」などの影響があります。派遣先においても、「派遣先都合による派遣契約解除時の講ずべき措置」、「労働契約申込みみなし制度」(同制度のみ2015年10月1日から施行)など影響は出てきます。

3. マージン率の情報提供の義務化

 マージン率の情報提供の義務化は、悪質な派遣会社の排除を目的として創設されました。マージン(派遣料金の平均額-派遣労働者の賃金の平均)には利益のみではなく、社会保険料の事業主負担分、福利厚生費、交通費、研修費、有給休暇の費用等が含まれており、厚生労働省の労働者派遣事業報告書の集計結果によると、下表のとおり2008年度以降の一般労働派遣事業のマージン率は概ね30%強となっています。

  2008年度 2009年度 2010年度
派遣料金(8時間換算) 16,348円 16,904円 17,096円
派遣労働者賃金(8時間換算) 11,254円 11,742円 11,792円
マージン率 31.1% 30.5% 31.0%

(資料:厚生労働省 労働者派遣事業報告より)

 派遣労働者への社会保険の適正な適用や福利厚生の充実、十分な研修などを実施することによってマージン率は高くなるため、マージン率が低ければ(派遣料金が安ければ)いいということは一概には言えません。また、マージン率は、派遣の業務内容によっても大きく変動します。派遣労働者を利用する会社としては、マージン率と併せて開示される教育訓練に関する取り組み状況なども加味して、派遣会社を選定する必要があるといえます。派遣会社としても、マージンの中身の積極的な情報開示が求められます。

今回の労働者派遣法の改正として、「労働契約申込みみなし制度(以下、みなし雇用という)」が創設されており、当該制度は2015年10月1日から施行されることとなりました。みなし雇用とは、派遣先が違法派遣を知っていたか、知らなかったことにつき過失があった場合に、派遣労働者に対して、労働契約の申込みをしたものとしてみなすとした制度です。派遣先は、派遣労働者が当該みなし雇用を受け入れた場合には、直接雇用する義務が生じることとなるため、注意が必要です。みなし雇用の導入までに3年間の猶予期間がありますが、当該制度の導入によって、派遣先での派遣社員管理が一層求められることとなり、今から対策が必要です。

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