日本と各国税務当局との間で情報交換ネットワークは、2013年10月末現在60条約、78カ国・地域にまで拡大しています。
国税庁の報道発表資料によりますと、租税条約等の各情報交換に基づき把握された申告漏れの具体的事例は次のとおりです。
1. 要請に基づく情報交換:相手国の税務当局に必要な情報の収集を要請
非居住者が所有していた日本国内の不動産の譲渡について、外国税務当局から情報を入手し、日本における譲渡所得の申告漏れを把握した。
2. 自発的情報交換:税務調査で得た情報を相手国の税務当局に自発的に提供
外国税務当局から、日本法人が海外の法人に外注費を水増しさせ、水増相当額を日本法人の代表者が現地で受け取っている旨の情報提供を受けた。
3. 自動的情報交換:調書で得た非居住者所得の情報を受領国の税務当局に自動的に送付
自動的情報交換により入手した海外金融機関からの受取利子に関する資料により、つぎの申告漏れを把握した。
・国内居住者の所得税の申告に、当該預金利息が申告されていないことを把握した。
・国内居住者の相続税の申告に、国外に保有する財産が含まれていないことを把握した。
・各国の取り組み
情報交換に積極的なのは、日本だけではありません。
G20では、2015年末までに、納税者の金融口座情報を自動的に情報交換することで調整中であり、課税逃れ防止のための対策を、各国連携して取り組んでおります。
とくに米国は、米国富裕層の税逃れを防止するため、FATCA法(外国口座税務コンプライアンス法)を定め、早ければ、本年7月1日以降、FATCA法に基づく情報提供が求められます。
FATCA法は、米国外金融機関に対し、IRSとFFI契約を締結し、米国人口座の特定や情報を収集し、IRSへ毎年報告をすることを求めています。
FFI契約を締結しない場合には、米国外の金融機関に支払う米国源泉所得となる利息や配当、その資産の譲渡対価に対して、30%の源泉徴収が行われます。
また、米国外金融機関がFFI契約を締結した場合でも、情報提供を拒否した非協力的な顧客に対しては、支払いを行う際に30%の源泉徴収を課す必要があります。
お見逃しなく!
確定申告の有無にかかわらず、5千万円超の海外財産を所有する外国籍の者を含む日本の居住者は、「国外財産調書」を提出することになりました。今年は導入初年度となり、2013年12月31日現在の国外財産の価額の合計が5千万円を超える個人は、2014年3月17日までに国外財産の種類・価額等を記載した国外財産調書を所轄税務署に提出する必要があります。
故意に、国外財産調書の不提出もしくは虚偽記載をした場合には、1年以下の懲役または50万円以下の罰金が課せられます。国際的な租税回避に向けた情報開示の義務が、納税者自身にも求められます。