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新たな企業年金制度(リスク分担型企業年金制度)について

厚生労働省は2016年5月27日、新たな企業年金制度である「リスク分担型企業年金」を導入するために、確定給付企業年金法施行令と同施行規則の改正案を公表しました。これを受けて、新たな確定給付企業年金の仕組みが平成28 年度中には導入される予定であり、企業会計基準委員会(ASBJ)は、リスク分担型企業年金制度に対応するための会計処理案を公表しました。

1. リスク分担型企業年金制度
今回のリスク分担型企業年金制度は、平成27年6月30日に閣議決定された「『日本再興戦略』改訂2015」において、企業が企業年金制度を実施しやすい環境を整備するために検討された施策になります。
従来、日本の企業年金制度は、厚生年金基金制度以外では確定給付企業年金(DB)と確定拠出企業年金(DC)の2つの制度が存在しています。年金の運用に伴うリスクを確定給付企業年金(DB)では、企業が負う制度であるのに対して、確定拠出企業年金(DC)では、従業員が負うという特徴があります。このため確定給付企業年金(DB)と確定拠出企業年金(DC)の場合では、運用リスクが労使のどちらかに偏る制度になっていました。
これに対して、リスク分担型企業年金の特徴は、確定給付企業年金(DB)において生じる運用リスク(年金の積立不足による追加負担)を企業側と加入者側で柔軟に分け合あうという制度設計になっており、両制度のハイブリット(中間)的な制度であることから、企業年金離れが進んでいる状況下の元において導入のメリットが高まることが期待されています。

2. 会計処理案の公表
企業会計基準委員会(ASBJ)は、平成28年6月2日付けで、リスク分担型企業年金制度に対応するための会計処理案を「リスク分担型企業年金の会計処理等に関する実務上の取扱い(案)」として公表しました。この中で、一定の要件(※1)を満たすリスク分担型企業年金は、退職給付債務の認識を不要とする確定拠出年金(DC)に分類するとして取り扱っています。

種類 確定給付企業年金(DB) 確定拠出企業年金(DC) リスク分担型企業年金制度
(リスク分担型DB)
制度の特徴 年金の積立不足が生じた場合には、事業主が不足額を負担 運用額が変動しても事業主側で追加拠出は発生しない 将来発生する積立不足を事前に見積り、労使合意のもとリスク分担する仕組み
会計処理 退職給付債務を認識する 退職給付債務は認識しない 一定の要件(※1)を満たす場合、退職給付債務は認識しない

(※1)企業の拠出義務が、制度の導入時の規約に定められた標準掛金相当額、特別掛金相当額及びリスク対応掛金相当額の拠出に限定され、企業が当該掛金相当額の他に拠出義務を実質的に負っていないことをいいます。

お見逃しなく!
今後、少子高齢化に伴い公的年金の給付水準が低下していくことを踏まえると、企業年金の果たす役割は年々大きくなってくると考えられます。企業年金制度は、従業員にとっては、安心して働くための重要な福利厚生制度であり、かつ企業側にとっては、優秀な人材を確保して企業を成長させていくためにも重要な制度であるため、今後の企業年金制度の普及に大きく影響を与える可能性がある同制度に注目が集まります。

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