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本社・高付加価値拠点の 海外移転

近年、製造拠点だけではなく、本社・高付加価値拠点の海外移転を実施・検討する企業が増加しています。

1    本社・高付加価値拠点の海外移転 具体例

<既に実施済み>

サンスター スイス 本社機能すべて(事前にMBOによる非上場化実施)
HOYA オランダ⇒タイ 主力事業の眼鏡レンズの事業本社
富士通 シンガポール スーパーコンピュタの開発拠点(同国科学技術庁と共同設置)

<検 討 中>

IHI(旧石川島播磨重工業):米、欧、中国、東南アジアの4極に統括会社を設置。

三井化学:高機能樹脂原料のフェノール事業で国際統括会社をシンガポールに設置。

三菱化学:ポリエステル繊維原料を製造販売アジア3社株式をシンガポール法人に譲渡・集約。

オムロン:本社機能の一部海外移転。 (2010/5/15日本経済新聞、2011/7/8毎日新聞)

2    日本企業の6重苦

日本での事業活動には6重苦があると言われます。すなわち①円高、②高い法人税率、③自由貿易協定への取組不足、④製造業への派遣禁止、労働時間制限など厳しい労働規制、⑤CO2の25%排出削減、⑥震災とそれに伴う電力不足の問題 です。この中でも①円高、②高い法人税率の2つが特に企業収益の重荷だという声が多くあります(2011/8/23日本経済新聞 社長100人アンケートより)。

3    グローバル人材の不足

グローバル化に必要な人材が日本国内では確保できず、本社等の海外移転を進めている側面があります。高度技能の人材不足の証左としては、①科学・工学系の博士号取得者数が少ない(米の1/4、人口が約1/2の英・独にも絶対数で劣る)、②高度教育を修了した優秀な外国人の流入が少ない(豪29%、米13%、日本0.7%)、③海外からの留学生受入比率が低い(英26%、米6%、日本3.5%)といった事実があります。(2010/6経産省・産業構造ビジョン2010より)

4    企業誘致競争

高付加価値拠点の誘致を巡って、各国の法人税率引き下げ競争が激しさを増しています。特にシンガポールなど企業誘致に前向きな国は、官が主導となって海外移転を後押しします。

お見逃しなく!

組織再編を用いて、日本法人が最終親会社である企業グループを、外国法人が最終親会社である企業グループに変えることもできます(コーポレート・インバージョンと言います)。

一定要件を満たせば、組織再編時に発生する株主への譲渡益課税や法人税課税を回避し、本社・高付加価値拠点の海外移転でハードルとなる税金コストの問題が解決できる可能性があります。海外移転の手法や外国法人の設置国にご注意ください。

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