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大企業と新興企業・中堅中小企業の資金調達の明暗と問題点

1・大手企業の資金調達

2010年は2009年に続き、三井住友フィナンシャルグループ、みずほフィナンシャルグループ、東京電力、国際石油開発帝石などの大規模増資を行う企 業が相次ぎました。2010年の発行額(新株発行+新株予約権付き社債)は前年比約3割減の3兆7,600億円でした(日経ヴェリタス2010年12月 26日号)。増資が可能な背景には、日米の金融緩和があるといわれています。増資の理由として金融機関は自己資本規制対応、その他の会社においては主に海 外投資を挙げています。
ただ、大規模増資を行っても、企業収益の拡大が実現しない場合は、株式の希薄化により、既存株主の利益が害される恐れがあることを、機関投資家の多くが指摘しています。

2・IPO市場

今年度の新規上場は22社、調達額は約1兆3,000億円ですが、そのうち3社は第一生命保険、大塚ホールディングス、ポーラ・オルビスホールディング スなどの大型企業の株式公開であり、これらの企業で調達額の9割以上を占めています。また、新興市場への新規公開は16社でした。

3・大手企業と新興企業の資金調達の差は?

現在の環境下では、投資の魅力は大手企業に集中しています。その理由は、大企業の資金調達が、成長を続けるアジア等の新興市場への投資による収益拡大を 明確に指向しているからです。投資家側としても、コーポレートガバナンスのしっかりした、アジアの成長の波に乗れる大手企業に投資した方が、リターンが大 きいと判断しています。
一方、新興企業は度重なる不祥事により上場基準が厳しくなったため、そもそもの上場数が少なく、上場時には、投資家の目も厳しくなっていることから、それほど資金調達ができません。また、大手企業と比べると、成長戦略が見えにくいといわれています。

4・新興企業・中堅中小企業の支援がカギ

新興企業に限らず、中堅中小企業において、国内マーケットを主戦場とする限り苦戦は免れませんが、これらの企業の中から、大手企業の後を追ってアジアを 中心に海外進出する例が増加しています。新興企業、技術力のある中堅中小企業を現在のアジアの成長の波に乗れるよう、情報提供、融資制度、税制、官民一体 の営業活動などで後押しがあれば、投資家の目も変わり、目的とする事業分野への投資に必要十分な資金を、上場により資金調達できる企業が出てくると考えら れます。

5・証券市場の対応策

新興市場における対応策として、上場までの期間を短縮するための遡及監査の検討など、今まで規制一辺倒だったものから、活性化のための改善策も出てきています。
また、金融庁は大規模増資による株式の希薄化問題に対して、ライツ・イシューの導入を検討しています(日経2011年1月10日付)。ライツ・イシュー は、既存株主が新株予約権を行使して資金を払い込んで新株を取得するか、新株予約権を市場で売却するか選択できるので、既存株主の権利に配慮した制度とい えます。

お見逃しなく!

中国・深センの昨年の新規上場数は約300社です。その他、アジア各国においてもIPO市場が回復してきているといわれており、日本の新興企業の中には、これらの新興国でIPOを目指す会社が増えてきています。

IPOとは、「Initial(最初の)Public(公開の)Offering(売り物)」の略で、未上場企業が、新規に株式を証券取引所に上場し、投資家に株式を取得させることを言います。
株式上場に際し、通常は新たに株式が公募されたり、上場前に株主が保有している株式が売り出されます。これら株式を証券会社を通じて投資家へ配分することをIPOといいます。
企業にとっては上場することにより、直接金融市場から広く資金調達することが可能となり、また上場することで知名度が上がり、社会的な信用を高めることができるため、近年株式の新規公開を目指す企業が急増しています。

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