税理士コラム

新型コロナウイルス影響下での3月期決算対応

新型コロナウイルス感染症の拡大が、人々の社会生活に大きな影響を与える中、企業の3月期決算業務にも多大な影響を与えています。
これに伴い、金融庁、東京証券取引所、国税庁をはじめとした各関係機関は、開示書類等について柔軟な措置を講じており、提出期限の延長を公表しています。

有価証券報告書提出期限の延長

有価証券報告書は通常ですと、決算日後3ヵ月以内、四半期報告書は45日以内に提出することが求められています。
新型コロナウイルス感染症の影響による決算手続き等の遅延に伴い、東京証券取引所 は2月10日、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた適時開示実務上の取扱い」を上場会社宛に通知し、事業年度の末日から45日以内などの時期にとらわれず、確定次第開示することで差し支えないとしました。
また、金融庁は4月14日(4月22日更新)、企業の個別申請を必要とせずに一律に有価証券報告書の提出期限を9月末まで延長することを発表しました。

株主総会開催の延期

新型コロナウイルス感染症の影響による決算手続き等の遅延により、6 月に定時株主総会を開催することが困難となることが懸念されます。
そこで、法務省は2月28日(5月12日更新)、定款で定めた 時期に定時株主総会を開催することができない状況が生じた場合には、その状況が解消された後合理的な期間内に定時株主総会を開催すれば足りるものとする見解を示しました。
しかし、会社法上、株主が行使することができる権利は、基準日から3ヵ月以内のものに限られます(会社法第 124条第2項)。
定款に定めた基準日(3月決算の多くは3月末日)から3ヵ月以内に定時株主総会を開催できない場合は、新たな基準日を定めて公告する必要があります(会社法第124条第3項)。
このような中、金融庁に設置された「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・監査等への対応に係る連絡協議会」は4月15日、「新型コロナウイルス感染症の影響を踏まえた企業決算・ 監査及び株主総会の対応について」を公表しました。
3月期決算の場合は、通常6月末に開催される定時株主総会の運営に関し、当初予定した時期に定時株主総会を開催し、取締役の選任等を決議するとともに、計算書類、監査報告書等については、継続会において提供する旨の説明を行うとする方法が示されています。しかし、剰余金の配当決議を継続会で行う場合には改めて基準日を定める必要があるため、企業側は難しい対応を迫られます。

申告期限延長

国税庁は3月25日(5月15日更新)、「国税における新型コロナウイルス感染症拡大防止への対応と申告や納税などの当面の税務上の取扱いに関するFAQ」を公表しました。
この中で、法人の申告期限については、役員や従業員等が新型コロナウイルス感染症に感染したケースだけでなく、感染拡大防止のため在宅勤務をしていることにより決算作業が間に合わず、期限までの申告が困難な場合などについても、柔軟に申告期限の延長が認められるとしています。

お見逃しなく!

東京証券取引所は5月1日、「2020年3月期の定時株主総会の動向」を公表しました。こちらによると、定時株主総会を7月以降の日に延期するための基準日の変更を検討している会社は 7.0%(調査対象556社中39社)となりました。
新型コロナウイルスの影響を受け、各官公庁からは次々と特例措置が公表されているものの、大多数の会社は6月中の定時株主総会の開催を前提に動いていることが見受けられます。

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