税理士コラム

【インボイスコラム】免税事業者のメリット、デメリット

この記事では、インボイス制度に関して免税事業者のままでいるメリットとデメリットを解説します。

□免税事業者のままでいるメリット

免税事業者がインボイス制度の開始後もそのままでいるメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。

① 消費税を納税しなくてもよい
② 会計処理が簡単である

上記2つについて解説します。

① 消費税を納税しなくてもよい

免税事業者のままでいる最大のメリットとして、消費税を納税しなくてもよいことが挙げられます。
消費税には8%と10%の2種類がありますが、ほとんどの業種においては10%が適用されます。
つまり110万円の売上があれば、そのうち10万円は消費税ということになります。課税事業者の場合、この10万円を国に納めなければなりません。
しかし免税事業者のままでいれば、110万円のすべてが自身のものとなります。
売上の10%もの金額を納めなくてよいのは、事業を続けていくうえでとても大きなことです。
免税事業者ということは、基準期間の課税売上高が1,000万円以下の小規模事業者であるということを意味します。
つまり金銭的に余裕のある状態とはいえないわけで、なおのこと10%の違いが事業の継続に大きな影響をもたらすことになります。

② 会計処理が簡単である

免税事業者のままでいればインボイスを発行しなくてもよいので、会計処理が簡単になるというメリットもあります。
インボイスを発行する場合、請求書の一つ一つについて、消費税の8%と10%を区分し、それぞれの合計額を記載する必要などがあります。
これらはフォーマットとして定められたものであり、きちんと守らなければインボイスとして認められません。
そのため適格請求書発行事業者になると、複雑な会計処理を日常的にこなさなければならなくなります。
免税事業者のままでいれば、請求書は従来通りの簡素なものでも構わないので、そのような雑務に時間を奪われることはありません。
□免税事業者のままでいるデメリット
免税事業者のままでいることのデメリットとしては、主に以下の2つが挙げられます。

① 取引先が減ってしまう可能性がある
② 取引先から値下げを要求される可能性がある

どちらも場合によっては致命的なものとなり得るので、以下の解説を読んでしっかり把握しておきましょう。

① 取引先が減ってしまう可能性がある

免税事業者であり続けることで、取引先が減ってしまう恐れがあります。
免税事業者のままでいるということは、取引先に対してインボイスを発行できないことを意味します。
これはつまり、現状維持を選ぶことで取引先の仕入税額控除を阻んでしまう恐れがあるということです。
当然ながら取引先もビジネスとして業務を行っているので、手元に利益を残すために賢明な努力をしています。
にもかかわらず、こちらの都合で仕入税額控除を適用できないとなれば、別の相手と取引したくなったとしても不思議ではありません。
結果として、取引先が次々と離れてしまうことが懸念されます。

② 取引先から値下げを要求される可能性がある

免税事業者のままでいることによって、取引先から値下げを要求される可能性があります。
こちらが免税事業者のままでいるということは、取引先にとっては「こちらとの取引について仕入税額控除を適用できない」ことを意味します。つまり取引先の利益が実質的に低くなってしまうのです。
そのため取引先の考え方によっては、免税事業者に対して、本来であれば控除できたぶんの消費税額をあらかじめ報酬額から引いて取引を継続しようとするかもしれません。
一方的な値下げや取引停止は、優先的地位の濫用と判断され、独占禁止法上問題となる可能性はあります。
しかし値下げ交渉自体が禁止されているわけではありません。立場が弱い場合、交渉を持ちかけられれば拒否することは難しいでしょう。
結果的に、免税事業者であることが理由で値下げを強制される可能性は十分に考えられます。


インボイス制度についてご相談したい場合は、ぜひ弊社・税理士法人永瀬事務所までお問い合わせください。

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